賃貸していた建物につき、賃借人との間で退去合意が成立した事案
事案の概要
相談者は所有する不動産(マンション)を賃貸に出していましたが、ご家庭の事情の変化により賃貸に出している不動産に居住を希望されました。
しかし、借主は立ち退きを拒否したので、どのように対応すればいいか弊所に相談されました。
解決の内容
相談者と借主との契約は一般的な賃貸借契約であり借地借家法が適用される契約であったため、貸主が賃貸借契約を解除しようとしても、正当事由がなければ一方的に賃貸契約を解除することはできませんでした。そこで弊所弁護士が相手方と任意交渉を行い、賃貸借契約を直近の契約更新日にて終了し、その後1年半以内に立退料170万ほどを支払うことで立ち退きをしてもらうという条件で退去の合意を締結することとなりました。
解決のポイント
建物の賃貸借契約においては、一般的に借地借家法が適用されることが多く、その結果、借主の地位が保護されており、「正当事由」がない限り、更新期間満了を迎えても貸主が一方的に更新を拒絶することができないこととなります。
本件は、貸主が賃貸していたマンションに自らが居住する必要が生じていたことから、裁判で争った場合であっても「正当事由」の要件を満たす可能性もありました。
しかし、裁判になった場合は明渡しが認められるかに不確実性が残ることや、費用や審理に必要となる時間等もかかることを考慮し、借主側の立場も一定程度考慮したうえで上記のような退去合意を締結することで、早期の解決に加え、将来の確かな明渡しが期待できることから、上記解決を図ることとなりました。