借地権の財産的価値

借地権の分類

借地権とはその名の通り、土地を借りる権利のことですが、借地契約については借地借家法(または旧借地法)により、一定の保護がされています。

借地契約には大きく分けて、更新することで期限を延長して借りることが可能となる「普通借地契約」と、更新がなく、契約終了後は更地にして地主に返還する必要がある「定期借地契約」とに分けられます。

上記のうち、「普通借地権」については、契約期限が満了しても、借地人が契約期間を更新することを希望する場合には、地主が更新をしたくないと考えていたとしても、更新の拒絶ができる場面が制限されています。そのため、「普通借地権」には事実上、土地の所有権に類似した価値が生じ得ます。

借地権の価値の目安

「普通借地権」(以下、単に「借地権」といいます。)には土地所有権に類似した価値が生じると述べましたが、具体的にどの程度の価値が生じるかを測るには以下のような指標が目安となります。

当該借地権の設定されている土地の時価に、借地権割合をかけて算出する方法が考えられます。なお借地権割合は、国税庁が公表する路線価図に記載されています。

 売却時の注意点

このように借地権には一定の財産的価値がありますが、第三者に売却することなどを考えるにあたっては、土地所有権とは異なる注意点があります。

借地権の第三者への売却にあたっては、原則として地主の許諾が必要となります。そのため、地主との間で何らかのトラブルが生じているような場合には、地主からの許諾が得られないおそれがあるため、売却が難しくなります。

例えば、借地契約の期間が満了後、地主との間で更新の契約書を締結できず、法定更新(法律により更新がなされたとみなされる場合)となっている借地権の場合は売却の局面などで地主の協力が得られず、売却が困難になることが想定されます。

この点に関し、地主が借地権の譲渡を承諾してくれない場合であっても、裁判所に借地非訟事件の申し立てという手続きを取ることで、裁判所に一定額を地主に支払うことを条件として、借地権の譲渡を地主が承認したのと同様の効果を生じさせる決定を出してもらうといった対応方法も考えられます。

しかし、このような裁判手続きには費用や時間もかかります。

また、借地権を地主に買い取ってもらうという方法も考えられますが、この場合でも日頃からの地主との関係性が売買の成否に影響すると考えられます。

そのため、特に、第三者や地主への借地権の売却も考える場合等には、地主との関係性を良好に保っておく方がよいと言えます。

なお、第三者への借地権の売却に地主が同意してくれる場合であっても、地主には一定の承諾料(借地権価格の10%程度)を支払う必要が生じることが一般的です。

 

監修弁護士紹介

弁護士 亀田 治男(登録番号41782)

経歴

2003年3月 上智大学法学部地球環境法学科 卒
民間生命保険会社(法人融資業務)勤務を経て
2006年4月 東京大学法科大学院 入学
2008年3月 東京大学法科大学院 卒業
2008年9月 司法試験合格 司法研修所入所(62期)
2010年1月 弁護士登録(東京弁護士会)
都内法律事務所にて勤務
一般民事(訴訟案件等)と企業法務に幅広く携わる。
楽天株式会社の法務部にて勤務
2018年1月 渋谷プログレ法律事務所開設
2021年5月 プログレ総合法律事務所に名称変更

 

資格

・宅地建物取引士

・マンション管理士

・管理業務主任者

・中小企業診断士

・経営革新等支援機関(認定支援機関)

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