レンタルオフィスの賃借と借地借家法の適用の有無

 最近では、企業が事務所を借りる際に、レンタルオフィスを事務所として利用するケースも増えているように思います。レンタルオフィスは、各企業が個別の専用スペースを借りながら、必要に応じて会議室等の共用スペースも利用できるという形態のオフィスです。

 企業がレンタルオフィスを利用するにあたっては、オフィスの所有者等との間で、レンタルオフィスの利用契約等を締結するケースも多いようです。

ここで一つ問題となり得るのは、レンタルオフィスを利用する企業が、借地借家法上の建物の賃借人としての保護の対象となるかという点です。

 というのも、借地借家法は、建物の賃借人に強い保護を与えており、普通借家契約においては正当な理由がなければ貸主からの賃貸契約の解約や、契約期間の満了後の更新拒絶ができないこと等の一定の規定を強行規定としており、これに反する当事者間の契約条項で借主に不利なものは無効としています。

そのため、レンタルオフィスの利用契約に、借地借家法が適用されるか否かは当事者にとって大きな影響を持ちます。

 借地借家法がレンタルオフィスに適用されるか否かの基準

レンタルオフィスの利用契約に、借地借家法が適用されるか否かは、結論とし、レンタルオフィスの物理的な利用形態によって異なるものとされており、貸し出すスペースの物理的形状によっては借地借家法が適用されます。

 この点につき、裁判例(東京地裁判決平成26年11月11日)の判決文では、「建物の一部であっても、障壁その他によって他の部分と区画され、独占的・排他的支配が可能な構造・規模を有するものは、借地借家法にいう「建物」と解される(最二判昭和4262日 昭41(オ)1426号)ところ、本件区画は、面積3.5㎡と狭小とはいえ、四方を天井まで隙間のない障壁で囲まれ、共用スペースとは鍵付きのドアによって区画されていることから、本件区画は借地借家法にいう「建物」に該当するといえる。」と判示されており、当該事案で問題となったレンタルオフィスの利用契約に関し、借地借家法が適用されると判断しています。

この事案では、ビルの1階から3階にかけて、合計で15部屋のレンタルオフィスの区画があった事案であり、各利用者との契約の名目は「入会契約」とされ、賃貸借契約とはされていませんでしたが、上記の理由から、契約の名目等にかかわらず、レンタルオフィスの区画は借地借家法にいう「建物」に該当するとしました。

そのうえで、上記裁判例は「本件契約の規定に照らすと、その中核的 な内容は、Yが本件区画をXに使用収益させ、 Xがその対価である利用料金をYに支払うと いうものであり、しかもXによる本件区画の 使用収益は、建物の独占的排他的な使用を内 容とするものと認められるから、その法的性 格は、建物の賃貸借契約にほかならない。」として、結論として当該レンタルオフィスの「入会契約」には借地借家法が適用されるとしています。

 上記の裁判例でポイントと考えられる点は、例え契約書の名目が何であれ、実態として借地借家法でいうところの「建物」に該当し、その「建物」の利用の対価として利用料を支払う形態の契約には借地借家法の強行規定が適用されるということです。この場合、「建物」に該当するかの判断基準として、裁判所は「建物の一部であっても、障壁その他によって他の部分と区画され、独占的・排他的支配が可能な構造・規模を有するものは、借地借家法にいう「建物」と解される」と判断しているため、レンタルオフィスの物理的形状がこのような定義に該当するものであれば、借地借家法の適用対象となることが想定されます。

具体的には、上記裁判例は、利用区画の面積が3.5㎡と狭いものの、利用できる区画の四方が天井まで隙間のない壁でおおわれており、利用区画と共用部分とが、鍵付きのドアによって区画されていて、ドアを開けなければ共用スペースから利用区画内部の様子をうかがうことができないといった構造であることを理由に、借地借家法上の「建物」に当たると判断しています。

そして、上記裁判例では、レンタルオフィスの入会契約の内容は、上記の利用区画を利用者に使用収益させる対価として、一定の利用料を月額でとっているという契約形態に照らせば、その法的性質は建物の賃貸借契約であるとし、利用者は借地借家法上の保護を受ける対象となると結論づけています。

 逆に、上記の裁判例の事例と異なり、明確な物理的な区画がなされていないような区画の利用契約であれば、借地借家法上の「建物」に該当せず、同法の保護の対象とならないことが想定されます。

例えば、上記と同様に、建物の一部の利用契約に関し、借地借家法上の「建物」賃貸借契約に該当するかが問題となった別の裁判例(東京地裁判決 平成21427日)において裁判所は「賃借建物のフロアーの一部分につき、若干の什器備品を置くことにより間仕切りした一部分の転貸借につき、物理的境界がなく、独占的・排他的支配がないことから借地借家法1条にいう建物に該当しない」と判断されています。この事案ではつまり、建物の一部の区画が他の共用スペースなどとも明確に区切られていないため、借地借家法は適用されないとされています。

 このように、レンタルオフィスの利用契約について、借地借家法の適用がされるかの基準としては、個々のレンタルオフィスの物理的形状として、独占的・排他的支配があるか否かやその契約内容の名称にかかわらず実質的な内容をみて決められるものと考えられます。

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