滞納管理費請求訴訟における弁護士費用の滞納者への請求

 マンション管理組合が、管理費を滞納している者に対して弁護士に委任し、滞納管理費請求の裁判を起こす場合に、かかった弁護士費用を相手方(滞納者)に負担させられるかという点も問題になります。

 通常の訴訟提起においては、かかった弁護士費用を相手方に負担させることは一部の類型の訴訟を除いて出来ません。

 しかし、マンション管理組合が管理費等を滞納している者に弁護士費用を支払って訴訟等の依頼をする場合には、その弁護士費用を違約金として滞納者に負担させることが出来る場合があります。

 すなわち、弁護士費用を違約金として滞納者に請求できるということをマンション管理規約に規定していれば、その規定に基づいて管理組合はその弁護士費用も含めて滞納者に支払いを求めることが出来ることとなります。

 この点に関し、弁護士費用には、通常、最初に依頼者に支払っていただく着手金と、事件の結果に応じて支払っていただく成功報酬金とがあるところ、管理費の請求で違約金としての弁護士費用の範囲が問題となった裁判例では、着手金と成功報酬金の合計額の実額を滞納者は負担すべきであると判示しています(東京高裁平成26年4月16日判決(判時2226号26頁))。

 したがって、マンション管理規約において、違約金として滞納者に弁護士費用も負担させるとの規定がある場合には、裁判提起のために管理組合が支払った弁護士費用を滞納者に請求できます。

 但し、弁護士費用の支払いを命じる判決を管理組合が取得することができたとしても、財産を持っていない滞納者からは実回収ができない場合があるため、この点については注意が必要です。

 

監修弁護士紹介

弁護士 亀田 治男(登録番号41782)

経歴

2003年3月 上智大学法学部地球環境法学科 卒
民間生命保険会社(法人融資業務)勤務を経て
2006年4月 東京大学法科大学院 入学
2008年3月 東京大学法科大学院 卒業
2008年9月 司法試験合格 司法研修所入所(62期)
2010年1月 弁護士登録(東京弁護士会)
都内法律事務所にて勤務
一般民事(訴訟案件等)と企業法務に幅広く携わる。
楽天株式会社の法務部にて勤務
2018年1月 渋谷プログレ法律事務所開設
2021年5月 プログレ総合法律事務所に名称変更

 

資格

・宅地建物取引士

・マンション管理士

・管理業務主任者

・中小企業診断士

・経営革新等支援機関(認定支援機関)

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