不動産の売買における宅建業者(不動産仲介会社)の調査・説明義務

 不動産の売買にあたっては、売主が一般の人である場合、通常は宅建業者を通して売買契約の締結がなされることが多いかと思います。

このように、宅建業者を通して売買契約がなされる理由は複数ありますが、中でも重要なのは下記の2つと考えられます。

1つは、不動産はその価格の大きさから、なかなか一般人が売りたいと思っても買い手が見つけられないため、宅建業者に仲介を依頼して買い手を見つけてもらうケースが多いといえます。

もう1つは、宅建業者が仲介して不動産を販売する場合には、宅建業者に調査・説明義務が課されているため、買い手としては一般の売主から直接不動産を購入するよりも安心して購入ができる点にあります。

 宅建業者には、宅建業法35条1項各号により、買主等へ一定の重要事項の説明義務が課せられ、同法47条1項1号に基づき、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼす事項等についてわざと告知しないことや、事実と異なることを告知することが禁止されています。

 このような法律に基づく義務が宅建業者に課せられていることによって、宅建業者を介した取引において、買い手や借主は宅建業者から重要事項等の説明を受けて売買や賃貸契約を締結することとなりますが、ときには宅建業者がこうした説明義務に違反して、事実と異なる説明をした、または説明を何ら受けられなかったなどを理由にトラブルが発生することがあります。

そこで、以下に宅建業者が宅建業法上負うこととなる説明義務の概要について解説します。

 1.宅建業法35条の重要事項の説明義務について

宅建業法35条1項により、宅建業者は、売買や賃貸の仲介をする場合や、宅建業者自らが売主として不動産を販売する場合に、相手方(買い手や借主)に、契約成立前に重要事項を説明することが義務付けられています。

この重要事項の具体的な内容は、宅建業法35条1項各号に列挙されており、例えば売買の仲介の場合には、物件の登記上の記載情報や、法令上の制限の有無、手付金等の授受が必要か否かなどの事項について調査の上、買い手等に説明しなければならないことが規定されています。なお、宅建業法35条1項に規定される重要事項の説明義務について、宅建業者は故意(わざと)で事実と違うことを説明した場合のみならず、過失により誤ったことを説明した場合であっても責任を負います。この点は、後述の宅建業法47条に基づく説明義務とは異なります。

 2.宅建業法47条に基づく説明義務について

宅建業法47条1項1号の、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼす事項の具体例としては例えば、売却物件に関して事件・事故や自殺があったことや、隣の部屋が暴力団事務所であるなど様々なものがあり得ます。もっとも、このような情報について宅建業者が告知する義務があるとされるのは、知っているのに告知しなかった場合や敢えて事実と異なることを告げた場合であり、事実を知らなかった場合や過失により事実と異なることを告知した場合の責任までは問われません。

また、仮に宅建業者が上記の事故・事件等を知っていたのに告げなかった場合であっても、常に宅建業者の不告知等が同法47条に基づく告知義務反となるとは限りません。

同法47条に基づく告知義務違反となるか否かは、告知しなかった事実が、物件の「瑕疵(欠陥)」といえるのか否かによっていると解されます。ここでいう「瑕疵」には物理的瑕疵に加えて事故物件や、近隣に暴力団事務所があるなどの「心理的瑕疵」も含まれると解されています。

この「瑕疵」にあたるかどうかは、簡単に言えば「日常の生活をするのに支障があるか」を基準に判断されることになります。

 例えば事故や自殺があったとしても一定の時の経過がある場合などには嫌悪感が希釈されたとして、宅建業法47条の告知義務違反とならないこともあり得ます。しかし、何年経過すれば告知義務違反とならないといった明確な基準はないため、宅建業者としては知っていたならば基本的にはこうした事実は告知する方が後々のトラブルを防ぐこともでき安全です。

 3.宅建業者の説明義務の範囲

上記の通り、宅建業者には幅広い調査・説明義務が課されています。とはいえ、宅建業者も建築士や施工業者とは違い、建築構造などの専門的な分野についてまで欠陥の有無を判断できる知識は有していないこともあります。

そのため、宅建業者に課される調査・説明義務の範囲は一定のものに制限されています。例えば、裁判例(東京地裁判決平成21年10月9日)は、宅建業者が仲介して不動産の売買が行われた事案で、当該不動産の一部に法令違反があり、この違反は買主が売買契約を締結するかどうかを決める際の重要な事項であることは認めつつ、その不動産に法令違反があるか否かの判断には建築に関する専門知識を要するものであり、宅建業者においては認識しうるものではなかったことを理由に、宅建業者に買主への調査・説明義務の違反はなかったと結論づけているものが参考になります。

もっとも、宅建業者としては自身が建築の専門知識がないとしても、買い手等に専門家への調査を依頼することなどを助言することなどを通し、こうしたトラブルを未然に防げるように対応することが望ましいと言えます。

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