土地の評価額の5つの基準と時価の算出の重要性

不動産の立ち退き交渉や、相続における遺産分割協議等の裁判や交渉では不動産の価格をいくらと評価するかによって、具体的な請求額や、支払い額、受領額が大きく異なってきます。

ここで問題となる不動産の評価額のうち、土地については以下のように5つの価格の決め方、基準があります。

すなわち、①実勢価格(時価)②公示価格③基準値標準価格④路線価⑤固定資産評価額の5つです。

 このように同じ土地であってもその価額の評価基準が5つ存在しますが、不動産に関する訴訟や相続関係の訴訟等において重要となるのは①の実勢価格(時価)です。

 この実勢価格(時価)は実際に取引がなされる場合の相場であるため、その都度、不動産業者や不動産鑑定士に依頼し、個別に査定額を算出してもらう必要が生じます。

 一方で、上記②の公示価格、③の基準値標準価格、④の路線価、⑤の固定資産評価額は国や都道府県が一定の基準により明確な金額を定めているため、これらの金額からもある程度は時価を想定することができます。

 特に、上記②の公示価格は、国土交通省が毎年1月1日を基準日として、2名の不動産鑑定士によって算定された土地の価格を公表しているものであるため、上記の②~⑤の基準額の中では最も時価に近いものと言えます(なお、上記③の基準値標準価格は、都道府県が毎年7月1日を基準日として不動産鑑定士1名以上の不動産鑑定士によって算定された土地の価格を公表しているものであり、②の公示価格に類似した基準価格と言えます)。

但し、②の公示価格も、東京都心部等では、時価と乖離が生じることも多く、例えば地区によって異なりますが、公示価格の1.2倍が時価であったりします。時価と公示価格の乖離の幅も地域によって異なるため、公示価格はやはり時価を考えるうえでの参考程度にしかなりません。

 そのため、時価を反映した不動産価格を知るために、不動産業者の作成する簡易的な査定書を取得したり、不動産鑑定士に鑑定評価をしてもらう必要が生じるケースが多くあります。

不動産業者によっては、簡易的な査定書の作成は無料で作成してくれることもあるため、最初に取得すべきものはこのような簡易的な査定書です。

もっとも、裁判になった際には、不動産業者の作成する簡易的な査定書は一般的に証拠としての価値が不動産鑑定評価書に比べると低いため、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する必要が生じるケースもあります。

不動産鑑定評価書は裁判でも証拠資料として提出できる証拠価値の高いものですが、その分、作成のための費用も数十万以上かかるため、事案に応じて不動産業者による簡易的な査定書で済ませるのか等を検討していく必要があります。

 

監修弁護士紹介

弁護士 亀田 治男(登録番号41782)

経歴

2003年3月 上智大学法学部地球環境法学科 卒
民間生命保険会社(法人融資業務)勤務を経て
2006年4月 東京大学法科大学院 入学
2008年3月 東京大学法科大学院 卒業
2008年9月 司法試験合格 司法研修所入所(62期)
2010年1月 弁護士登録(東京弁護士会)
都内法律事務所にて勤務
一般民事(訴訟案件等)と企業法務に幅広く携わる。
楽天株式会社の法務部にて勤務
2018年1月 渋谷プログレ法律事務所開設
2021年5月 プログレ総合法律事務所に名称変更

 

資格

・宅地建物取引士

・マンション管理士

・管理業務主任者

・中小企業診断士

・経営革新等支援機関(認定支援機関)

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